ShimizuYoshiyuki

「童仙房のお茶」


清水善行

在来種の茶葉で、焙じ茶をつくっています。5月頃に出てくる、一番やわらかい新芽、いわゆるファーストフラッシュを使ったお茶です。火にかけると、とても芳しい香りがします。優しい味わいも在来種特有のものです。

茶葉の仕入れは、童仙房にある茶農家の柚木喜彦さんからです。童仙房は約150年前に開拓団が入植して、切り開かれた土地です。標高が500mほどあって、朝晩の寒暖差が大きいため、お茶の栽培が広く行われてきました。明治期には海外に輸出もしていたそうです。最初は開拓長屋が建設されて、そこに入植者が入居されました。その後、土地を分け与えられ、それぞれが家を建てられたましたが、大変時間がかかったと聞きます。重機もない中、山を開墾するところから始めたわけですから、その大変さは想像を超えています。その開拓時代に茶畑はできました。今では茶農家も半減し、中でも在来種を育てる人はわずかとなってしまいました。在来種は芽吹きが一定ではなく、葉の形や色もさまざまで、生産性があがらない。しかも、市場では安く取引されます。手がかかる在来種は、植え替えが進んでいます。

清水善行

でも、僕たちは、在来種のお茶を飲み続けたいと思いました。柚木さんに作り続けてもらえるよう、彼から在来種の茶葉すべてを買うことにして、展覧会に行った先など、全国各地の方々に飲んでいただいています。じわじわと、やっと広がってきたところです。

仕入れる茶葉はしだいに増えて、今では1年に100キロほどになりました。年に1回、新芽の時期に買い取って、注文に応じてその都度焙じます。焙じ茶は、保存管理に気をつければ1年くらいは十分持ちます。土鍋で焙じる時は、新芽のおいしさを残せるよう、じっくり茶葉の様子を見つつ、音も聴きながら焙じます。

在来種の茶葉を焙じてお茶を作ることは、もはやライフワークでもあります。そして、僕にとって、焼きものとお茶はつながっています。この土地の土を使って、器を焼く。この土地に育つ在来種の茶葉を焙じて、お茶を作る。焼きものとお茶はいっしょにある。

焼きものはどこまでいっても飽きることがないし、お茶は飲むたびに、おいしいと感じる。だから、作り続けているのだと思います。

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